偶・像・燦・燦

ガッチガチのアニメオタク→邦ロック→ジャニーズJrの遍歴をたどりつつ、結局兼任してるオタクのブログ。

幸福王子 観劇感想

幸福王子、このご時世無事に走り抜けられて本当に良かったと思います。キャストの皆様、見に行った方々もお疲れ様でした。

ストーリー部分の補足にムラがあります。観劇できなかった方は先に青空文庫で原作、幸福な王子を読んでいただければ幸いです。

 

コロナ直前にジャニーズにハマったので、幸福王子が初の現場でした。2回入りましたが、1回目の感想をベースに書きます。

ちなみに虎者は外しました。無念!

 

 

開始20分ほど前に席につきました。

7列目下手席だったんですが、この時点でもう舞台が近くてビビりました。

 

舞台の中央には王子の像が置かれていて、黒マネキン(筋肉バキバキ)に金のジャケット、王冠というすごいコーディネートでした。下丸見え。

 

演者が使う机の上にはすごい量の水が置いてあった。こんなに飲まないよ。

 開演が近づくにつれ心臓がバクバクしてきて、バレンタインチョコを渡すときより緊張していました。一生のうち一番ドキドキした。


初めての現場、初めての本髙克樹

14時になり、いよいよ開演の時間。

まずは舞台の世界観のナレーションから。

あっこういう感じで進むのね~とのんきに構えていたら王子が喋り出しました。


「500年ずっと人間は争い続けている、300年前に世直しをしてやろうと思ったけど、俺は足が台座に固定されてて動けない!(意訳)」

 

「馬鹿かお前らは!!」ドラムドンドン

 

いきなり激昂シーン。そしてバンドのいる現場は久々。

初めて担当を見た感想は「ひぇ…コワ…」でした。

 

 一羽の小さなツバメがやってきました

王子のいる街に、こんぴー演じるツバメがやってくるシーン。

ツバメは薔薇に恋をして、求愛行動をします。

 

「君を好きになってもいいかい」

このときのツバメの声が優しくて、私は ASMR音声がほしくなりました。

原作でツバメは葦に恋をしていましたが、薔薇に変更。

薔薇に恋をして、勝手に飽きて、それを薔薇のせいにする。「現代の身勝手な若者」呼ばわりをされていました。この時のナレーションの小川優くん好きだったなあ


ツバメと王子の出会い

 

「俺の心臓は鉛でできているが泣かずにはいられないのだ」


王子は生前の幸福な生活の話をします。原作では昼は庭園で遊び夜はダンスをする、だけでしたが、豪華な食事をとり、が追加されていました。

キャストに合わせた改変…!!


この辺りで幸福の王子→幸福であれと人々に仕立て上げられた王子、ということになるのか…?など哲学もなんにも分からないながら考え始めました。


「なんだって!?この像は中まで金ピカじゃないのか!」

ツバメちゃん、そこなの!?と思いました。この王子がもし中まで金ピカだったとしたらどうしたんだろうな。


ツバメが王子に頼まれて、剣の柄のルビーを届けに行った先で、高熱を出した男の子を本髙くんがやっていました。これで僕は元気になる!の言い方すきだったな。公演によってはあざといポーズをしていたらしいです。

 

 

エゴ

 王子は次にサファイアの両眼を、売れない劇作家とマッチ売りの少女に届けさせます。これで王子は何も見えなくなってしまいました。


王子の「目が見えなくなったから見ずに済んで楽」

というセリフで、エゴにまみれている、逃避だ、と思いました。別のシーンで王子は「独善的」と評されていました。

ツバメは「辛いものも見なくて済むかもしれないけど、綺麗なものや楽しいものまで見られなくなるんだろ?」と返していて…ごめんよわたしが間違ってた

 
目の見えない王子の代わりに手足となり目になるツバメ。ついに体を覆う純金も分け与え始めます。金が剥がされるシーンは、舞台中央の像の金ピカの上着を脱がせて表現していました。二人で両側に引っ張っていました。


(えっこの上着半分ずつだったの!?!?)

 (純金一枚とルビーサファイアじゃ価値に差があるんだよなあ…)

経済的価値でしか判断できない愚かな人間(私)としてはそう思いました。

 

失った

 

 ツバメは王子のそばにずっといる覚悟を決め、この街で越冬することにしました。しかし寒さには耐えられず、日に日に弱って瀕死状態になりました。

街の雪のシーンが綺麗でした。ボロボロの王子の像との対比なんだろうなあ。

 

もうツバメはアルプスを越えてエジプトにはいけないことを分かってか分からずか、王子は「エジプトに行くんだな?」とツバメに問いかけていました。

 

王子「わかってるだろ…(死ぬってことを)」

ツバメ「…君の手にキスしてもいいかい?」

王子「キスするなら唇にしてくれ、俺ももう.......手の感覚がないんだ」

原作では「愛しているから」唇にキスをしてほしい、とのことでしたが、「手の感覚がない」に差し替えられていました。

 

 

 

一人芝居

 ツバメが死んでからのシーンは本髙くんの一人芝居でした。

市議会議員や市長が、ボロボロになった王子の像を撤去し、新たに自分の像を建てようと醜い言い争いをしています。芸術の教授は、「もう美しくないから経済的な価値がない」と言いました。お金で換算することしかできないのか教授なのに…。

 

 

おわらないせかいでしあわせにいきる

 原作は、「この世で一番美しいもの」としてツバメの亡骸と、溶鉱炉では溶けなかった王子の鉛の心臓が天に上げられ、二人は楽園で暮らした、という終わり方でした。

神が出てきて2人をしあわせにしました、は個人的に物語の終わり方としてナンセンスだと思っています。デウス・エクス・マキナのように上位存在を出さないでほしい。

 

神は「ツバメは私の楽園で歌い、王子は私に仕える」と宣言します。

生前ずっと仕えられる側だった王子が、神に仕えるとは皮肉な話。


「馬鹿かお前らは!!!!」

冒頭と同じセリフで激昂し、涙を流します。

ロザリオをじゃらじゃらつけた衣装で神を罵倒するエンドになるとは思わないじゃないですか。個人的にはスカッとしました。最高のアンチテーゼだ。

 

 

 

演出編

ツバメソロ

 ツバメは、ルビーを届けたことを王子に報告します。このシーンでこんぴーのソロ曲がありました。難しいことを考えるとねむくなっちゃう、という歌なのですが、後ろのおじさんたちがガチ寝してて笑ったし、本髙くんは座ったままスタイリッシュに寝てた。

めちゃくちゃどうでもいいんですが、こんぴーの声、バンド友達の声に似てました。

スピッツ系というか…。

 

ゼロサムゲーム
ゼロサムって?と聞いたツバメに、わざわざ難しく説明するのが「理系」って感じでよかった。経済学の分野だと思いますが。

人間だった頃の自分もゼロサムにおける勝者であったことを自覚しててよかった。
王子がキレるシーンの度に(やだぁ…ニコニコして…)と思ったし、歌の途中のアイコンタクトとかで一瞬口角あげた時にキターと思った(語彙が古のニコニコ動画)

 

こんぴーの煽りと本髙くんの上を指さして揺れるポーズが好きでした。

あと…マネキンの前に立って、王冠をかぶっているように見える演出…

 

 

王子ソロ

 たぶん良すぎて記憶を飛ばしたか、造形美で気絶してました。

「折れない心~」のとこだけ覚えてる。

今のジャニーズにおいて低音を安定して出せる人材は貴重!!

 

 BGM

ツバメちゃんがエジプトの話する時楽しそうですきでした。鳥のさえずりをびっくりチキンで表現していて、「あのチキンこんな上品な音出せるんだ…」と思いました。

一方王子はマジで聞いてないし頬を膨らませたりしていた。(2回目で気づいた)

 

ラストの歌

みろ、俺はピカピカで~

のメインテーマと思われる曲です。

照明をぐるぐるさせる演出のせいか、まぶしかった。

この曲では本髙くんとこんぴーとして歌って踊っていたと思います。

オタクにライトを当てないで!目が合ったような気がするし向こうからも見えている気がするから…。

 

書きながら思ったこと

 

ツバメは神によって生き返らせられて、何を思うんでしょうか。

観た人に聞いてみたいなあ。

 

私は楽園=エジプトだと考えているので、ツバメは最初は素直に喜ぶのかなあと思いました。ツバメの生物としての寿命を過ぎて、王子みたいに長く生きすぎたら、気が狂ってくるのかも。(TRUMPシリーズに多大な影響を受けた発言)

傍らにせめて王子が、同じように永遠に生きるものがいたらいいなあ。